洪牙利(ハンガリー)備忘録

主にハンガリーでの思ひ出を綴っています

遠き日の思い出⑥ 〜別の場所からの移し替え〜

自転車を買い替えたいという友人に付き添い、自転車屋に行った。友人には色々とこだわりがあるらしく、街乗り用のロードバイクコーナーでフレームがどうのと言いながら物色をしていたが、私は付き添いなのでちょっと離れたママちゃりコーナーでぼんやりしていた。するとその友人がやって来て、ママちゃりの前かごを指差し「ugly basket」といい放った。私はなんだかバツが悪くなり、隣のマウンテンバイクコーナーの1台を適当に指差して「これとかいい感じ。」と取り繕った。すると、その不用意な一言のせいで、私はそのマウンテンバイクを試乗することになってしまった。

自転車屋の前でフラフラと試乗しながら、私はそのマウンテンバイクのクオリティの高さに気付いた。6段切り替えのギアがハンドルの左右に一つずつ付いていて細やかなスピード調節が可能。高さも珍しくぴったりで、サドルに対するお尻の座り具合も申し分がない。しかも新品なのに中古と同じくらいの良心的な値段。ある点を除けば完璧である。そう、ある点を除けば。私はその良心的な値段にものすごく思いあたるふしがあった。色である。もう、救いがたいほど奇抜なのだ。タイヤが既にピンクと黄色の迷彩柄である。何のための迷彩か。友人にどう思うか尋ねると「走ってる時はタイヤの色が分からなくなるから思ったよりまし。」と相変わらずの辛口な意見が返ってきた。

なぜだか分からないがこの2日間、私は友人にそのマウンテンバイクを買うか買わないかの選択を迫られている。

2015年4月