洪牙利(ハンガリー)備忘録

主にハンガリーでの思ひ出を綴っています

ここは日本のはずなのに。

水が出なくなった。
あれあれ?断水かな?と思い、インターネットで調べるも何の情報も出てこない。
我が家だけだろうか?と思いつつ、夜も遅かったので一旦様子を見ることに。

次の日になっても断水は続いている。
9:00になるのを待って市役所に電話してみた。

市の職員「あー昨日から断水してますね。」

ふむふむ。なるほど。

私「いつまで続く感じですか?」
市「最低1ヶ月ですね。」
私「え゛?」

自分でもビックリするくらい低い声が出た。

私「い...1ヶ月?」
市「今、給水車が向かってますんで、水を受け取ってください。」
私「ちょ、ちょっと待ってください。なんで断水してるんですか?なんで1ヶ月も続くんですか?その間ずっと給水車なんですか?」

私の矢継ぎ早な質問に、市の職員は「詳しくは区長さんに聞いてください」と、区長さんとやらの名前と電話番号を言い残し電話を切った。

区長さんって何だ?と思いつつ、仕方がないので教えられた電話番号に電話する。

「ハイ、モシモシ」

女の人が出た。市の人にこちらにかけるよう言われたので...と話す。

「ハイハイ、水ネ。ポンプ壊レタ。ナオスノ時間カカル」

あれ?なんかたどたどしい。

「ワタシ、ニホンゴ、アマリ上手クナイカラ、ゴメンネ」

...なんだこれは。どうしよう。。。

女「シュジン、大阪、車トリニイッタ。カエッテクルト電話スル」
私「分かりました。では、こちらの電話番号をお伝えさせていただいてよろしいでしょうか?」
女「ワカッタ。ジェロキュージェロ...」
私「いえ、あの私の方の電話番号をですね...」

最後に彼女は「水は早い者勝ち」みたいなことを言い残して電話を切った。

半信半疑で教えられた場所に行くと、人々が集まっていた。あまり悲壮感はない。諦念とでも言うべき空気が流れている。とりあえず飲み水をもらう。「非常用」の文字がなんとも恐ろしい。
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この後ホームセンターに走り、20リットルのポリタンクを2つ購入し、トイレ用水をゲットした。

...いやいや、待て待て。1ヶ月もこんな生活は無理だよ。実家に電話して1ヶ月ほど避難させてほしいと親に相談した。

この辺りは私有地であり、元々の管理会社がつぶれた後に変な管理会社が入り込み、水と道路を押さえてしまっている。お陰で道路はボコボコのまま、ライフラインの水は1ヶ月1万円もする。高額のくせにポンプが壊れても対応は悪い。市が管理していれば1ヶ月も断水なんてことはないのに。この管理会社はあちこちで似たようなことをし、色んな所で訴訟問題になっている(去年くらいにニュースにもなっていた)。

ひとしきり準備を終えたあと、家に戻ると水が出るようになっていた。ワケが分からないがとりあえず喜ぶ。

夜に区長さん(旦那さんは日本の方だった)から電話があった。ここは山の上なので水を上げるメインのポンプがあるのだが、今までも何度も動かなくなっており、その度に住民達で対応してだましだまし使っているとのこと。今回はもうダメだと思ったけど、なんとか直ってくれました、と言う。管理会社の恒久的な対応は望めないとのこと。

日々断水に怯えながらの生活なんて考えもしなかった。ハンガリーのセゲドは上下水道しっかりしていたよ。...と、無理やりハンガリーに寄せてみる。

区長さんから「水と道路を市で管理してもらえるよう活動しているが難しい。自治会で随時活動報告してますので。」と、自治会に入るようすすめられた。分かりました、と返答したら次の日ポストに入会申込書が入っていた。行事計画書も入っており何気なく見ると「草刈り作業振り分け」とあった。草刈り作業自体は10月1日~31日となっている。草刈りを1ヶ月やり続けるのか...1ヶ月の断水に怯えながら...もう、1ヶ月と聞くだけでちょっと恐ろしい。

引っ越してきたばかりだけど、既に引っ越したい。